学級の概要

1 学校 港区立青山小学校
2 学 あすなろ学級

3 対象児童 軽度の知的障害の児童

4 学 4学級

5 所 〒107-0065 港区南青山2-21-2

6 電話 03-3403-4710(特別支援学級)
    03-3403-5588(学校)

    03-3403-5589(FAX)

7 開級 昭和60年4月1日

8 児 26名(令和6年4月1日現在)

知的障害学級について

 

 知的障害学級は、知的に障害のある子供たちのための学級です。通常の学級の1学級40人定員(第1学年のみ35人)に対して、1学級8名で編成されています。また、学級数に加えて1名の教員が配置されています。

 知的障害学級では、障害のある子供たちが将来社会の一員として、その子なりに自立し主体的な生活をおくることができるように、一人一人の子供たちの発達に応じた目標を決めて学習をしています。たとえば、あすなろ学級では次のような学習を行っています。

 

  ○挨拶、衣服の着脱や排泄、食事などの基本的生活習慣を身に付ける学習

  ○個別やグループで、一人一人に合わせて行う確かな学力を身に付ける国語・言語・算数の学習

   ○豊かな心や表現する喜びを育て、精神の安定を図る音楽や図工、健やかな体と忍耐力、健  やかな心を育成するための体育の学習

  ○栽培や調理、買い物、お楽しみ会の計画・実施、校外学習、理科や社会科等の教科、道徳や特別活動等の領域の内容を学習しながら、目的に向かって努力したり協力して行ったりすることの大切さや自分で考えて工夫する楽しさを知る生活単元学習

  ○交流及び共同学習や国際理解を中心とした総合的な学習の時間での学習

  ○学年集団への所属感や集団での行動力や社会性を高めるための通常の学級での交流及び   共同学習

    ○自分の障害について正しく理解し、受け止めることにもつながる、区内の小中知的障害学級との共同学習

 

 このような学習のほかにも、係や当番活動などに取り組み、集団として主体的に学校生活を送ることで、将来地域の中で自立した生活をするための基礎となる力を養っています。

 そして、直接的な支援を行わないことも一つの支援と考えて敢えて見守り、子供が言い争ったり試行錯誤したりする中で考える経験も大切にしています。

 また、学級内の学習だけでなく、縦割班活動・クラブ活動や委員会活動などの特別活動、運動会などの学校行事、給食の時間、休み時間、教科交流など、いろいろな場面で通常の学級との交流を行っています。通常の学級との交流によって大きな集団のもつエネルギーを吸収し、たくさんの友達と遊ぶ喜びや社会性など、学級だけでは学ぶことのできないものを身に付けていきます。通常の学級の子供たちも、このようなかかわりを通して、障害のある子供たちに対する理解を深めています。

 

 また、区内の他の知的障害学級との合同遠足、合同移動教室(4~6年)では、いつもは異なる場所で学習している友達と励まし合ったり、協力し合ったり、競い合ったりしながら活動する楽しさを感じることができるように工夫しています。合同運動会では、区内の中学校の知的障害学級3校の先輩と一緒に活動する中で、中学生へのあこがれや生涯にわたって学習することへの期待感を高めています。

 このように知的障害学級では、学級を基盤として、自立につながる基礎・基本の力とそれを生かすための力を蓄え、校内の通常の学級や区内の特別支援学級との交流及び共同学習を通して、それらをより広い場所でも自分の力として発揮できるように学習活動を組み立てています。

あすなろ学級の教育計画について

1 教育目標

 

  ○学校の教育目標

    ◇日本国憲法・教育基本法に基づき、人間尊重の精神を基調とし、国際社会に対応でき、心身ともに健康で知性と感性に富み、徳・知・体の調和のとれた人間性、社会性豊かな児童の育成を目指し、次の目標を設定する。

    ①よく考え、すすんで学ぶ子

     (自ら学び、考え、判断して問題を解決し、創造的に表現し、最後までやりとおす子)

    ②やさしい心をもち、なかよくする子

     (自らを律し、なかよくみんなで力を合わせ、互いを思いやれる心豊かな子)

    ③健康で、たくましい子

     (心身共に健康で、互いの生命と人格を尊重し、きまり正しく生活する子

 

  ○学級の教育目標

    ◇心身の障害の状況に応じて、生涯にわたって自ら生きる力を育むための基礎・基本となる力や社会に参画する資質をもった人間性豊かな児童の育成を目指し、次の目標を定める。

    ①よく考え、すすんで学ぶ子

     (自ら学び、考えるとともに感じたことを表現し、最後までやりとおす子)

    ②やさしい心をもち、なかよくする子

     (なかよくみんなで力を合わせ、互いを思いやれる心豊かな子)

    ③健康で、たくましい子

     (障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服しながら、きまり正しく生活する子)


 

  学級経営のねらい

 
 (1) 一人一人の成長を確実にするために

 

 子供たち一人一人が安全で楽しい学校生活が送れるように配慮し、それぞれの発達段階に合わせて指導にあたります。一人一人の課題に応じて、保護者、学級医や専門機関と連携して個別の教育支援計画及び個別指導計画を作成し、学習活動の基盤として活用しています。

 そして、子供たちが放課後に利用している児童館、学童クラブ、療育施設、医療施設、学習機関とも、直接的に或いは保護者を通して間接的に、それぞれの役割を確認し連携しながら、子供にとって必要な支援を考えていきます。

 また、授業場面における工夫として、幾つか心がけていることがあります。複数の指導者で指導することがあすなろ学級の特性ですが、「子供たちが主指導者に注視できる環境を保持する。」「主指導者の指示をそれ以外の教職員が安易に繰り返さない。」ということを常に意識しています。「全ての不必要な援助は発達の障害物になる」という考えです。

 授業の開始時刻や終了時刻を教師自身が守ることも大切で、このことが、次の活動に必要な時間を保証することにつながり、子供たちが安心して授業に参加できるようになります。子供たち自身にも、時間を守ることや、やらなくてはいけないことは素早く短時間で行うことを求めています。この場合も、「周りから遅れないようにするための支援」よりも「周りから遅れていることに気付ける支援」を心がけ、子供自身が修正していこうとする気持ちを育てます。

 さらに、授業規律についても、「授業の始めと終わりのあいさつを全員が姿勢を正しくして行う。」「指名されたら、返事をしてから答える。」「挙手して指名されてから答える場と各々が口々に答えてよい場の区別をする。」というルールを徹底しています。

 そして、子供に提示した目標が、的確に一人一人の子供に伝わり、見通しをもって適切に活動しているかということを、常に子供の姿で評価し、授業を進めていくことを大切にしています。これは、45分の中で1回だけ行うのではありません。授業を構成している細かい活動一つ一つについて、「子供に伝えたら、そのことができているか評価する」という繰り返しで授業が成立しているという考え方に基づいて、可能な限り細かいターンでの指導と評価の一体化を目指しています。

 また「活動についての説明の後には質問の時間を設ける。」ことや「授業の最後に、代表の児童1名が学習のまとめの発表をする。」ことを通して、児童が見通しをもって活動に取り組むことも大切にしています。

 これからのこと一つ一つが、一人一人の成長を確実にするための大切な営みだと考えています。

 一人一人の児童にとっての深い学びをイメージしながら、教育活動に取り組んでいます。

 

  (2)  自分でやろうとする気持ちを育てるために

 

 あすなろ学級の子供たちの多くは、入学前の生活の中で、どうしても「やってもらう」「やらされる」ことの多い生活を送ってきています。これは、「なるべく早くできるようにさせたい」という願いから考えると当然のことです。しかし6・7歳~11・12歳を迎える小学校の6年間を考えると、日常生活の自立と同じように、自分でやりたいという意欲をもつことが大切な時期と言えます。そのために、自己選択・自己決定の場面を意図的に設定しています。発達段階や学習の目標、教材の難易度に関連しない場面であれば、学習課題を1つだけでなく複数用意し選択できるようにしています。このような取り組みから「自分で考える」「自分でやる」気持ちを高めていきます。

 登校後に自分の荷物の整理や宿題プリントの提出をした後に係の仕事に取り組みます。この毎朝の一連の作業については教師から声を掛けられなくても進められるように促しています。全てのことが終わったら朝読書の時間です。生活の合間のちょっとした時間に、学校図書館・学級文庫から選んだ本を読んでいます。本に親しむことが大きなねらいの活動ですが、時間を設定し、必要最小限な支援だけを行うことで、子供たちは自分で自分の読みたい本を選ぶことができるようになります。

 また、学級の中に教師の意図的でない新たな課題が発生した場合も、最初は子供の様子を見守ったり、小さなヒントを与えたりすることで、自分で課題を解決していこうとする態度を育てます。

 これらのことは生涯学習の視点からも大切だと考えています。自らの意欲が次の自分の課題を発見し、そのことに自律的に取り組んでいく態度につながる基盤を作りたいと考えています。

 

  (3) 「もっとやってみたい」という意欲のために

 

 学校生活の多くの時間が授業時間です。登校してから学校で過ごす時間(6時間授業日)は、7時間5(8101515)で、授業時間は4時間45(45×6時間15=285)になります。67%が授業時間です。あすなろ学級では、この時間以外にも、日常生活上の学習課題や休み時間の過ごし方についても目標を設定しますから、子供がそれを意識するものと意識しないものがありますが、ほとんど全ての時間が学習の時間です。

 「自分の課題を意識する」→「課題に向かって努力する」→「わかった」「できた」→「友達にスゴイって言われた」「保護者や教師に誉められた」→「もっと上手にできる友達がいるぞ」「ちょっと難しそうだけどやってみようかな」というルーチンの中で、「わかる楽しさ」「できる喜び」を味わうことはとても重要です。一人一人がその思いをもつことができるような取り組みを授業時間はもちろん、学校の教育活動全体の中で行うことで、「もっとやってみたい」という意欲につながると考えています。叱る時は簡潔に一度だけ、一度できたことはその時誉め、その時間の終わりにも誉め、次の時間も誉めることを心がけています。

 また、一人一人の個性を認め、集団の中で一人一人が活躍できる場面を設定することも心がけています。努力している分だけ価値があるということが学級の風土となるように努力していきます。

 これらの取り組みの中で主体的に学ぶ力を育んでいきます。

 

  (4) 日常生活の自立と健康のために

 

 衣服の着脱、洗面、手洗い、排泄、食事、清潔などの基本的生活習慣については、習慣化し、場所が変わってもできることが大切です。また、あいさつ、言葉遣い、きまりを守ることなどの集団生活に必要なマナーの確立も大切です。子供自身が、日々の生活に自分の力を出し切って取り組むような目標や手立てを設定し、それに毎日取り組むことで、子供自身の力で生活できる部分が日に日に大きくなり、子供の生活は、より自立的になり、より発展的になります。

 生活の流れに沿って、実際的な状況の中で繰り返し指導しながら、望ましい生活習慣の形成を図ります。御家庭と連携して、子供がよりよく日常生活に取り組めるように生活を整え必要な支援を行うことで、基本的な生活習慣を身に付けることができます。

 子供が1日の生活に見通しをもって、その時々の日常生活の様々な活動を自力で処理できるようになることは、単に身辺生活の処理にかかわる技能を高めることにとどまらず、日常生活をより自立的・発展的に行うための生活意欲や生活態度を育てることにもつながります。それはすなわち、子供が自分の力を最大限発揮できることにつながると考えています。

 また、健やかな体は、生活の基礎であり、体力の向上、体重のコントロールも学年が上がるに伴って大切な課題となってきます。放課後の生活で汗を流して活動することがどうしても少なくなってしまう児童が多いため、登下校の習慣、休み時間の過ごし方だけにとどまらず、食生活の管理など総合的な生活習慣のコーディネートが必要です。

 週3時間の体育の授業では、様々な身体の動きを習得することを目指して、また、運動量を十分に確保することを意識しています。繰り返し取り組みながら達成する喜びや生涯にわたって身体を動かす楽しみを味わうことを目指しています。

 

  (5) 人とのかかわりを楽しむために

 

 あすなろ学級は、児童数26名ですが、個と個が集まった集団であること、学校の中の1つの学級である特徴を生かした学級経営を基本にしています。学級の中でも集団で遊ぶ楽しさやルールを守ることの大切さを学校生活のさまざまな場面で体験するようにしています。

 例えば、学級の中での小さな「いさかい」も大きな成長のためのかかわりの一つと考えています。各々の価値観を擦り合わせる大切な中間ポイントだからです。各々の価値観の中で、互いに落としどころを探るまで、教師は一定の範囲の中で見守ったり、必要最小限の仲介をしたりするに留めます。これらの取り組みが、次の「人とのかかわり」を楽しめることにつながると考えています。

 

 学校の一員として全校朝会や学校行事に参加する場面もあります。活動の特性に応じて、あすなろ学級として参加する場合(全校朝会・体育朝会・音楽朝会・運動朝会等)もあれば、当該学年の一員として参加する場合(運動会・消防写生会等)もあります。当該学年の一員として参加する場合は、原則として学年の中の1つの学級を交流の学級として定めることで、かかわりの積み重ねが生じるようにしています。

 また、交流の学級では、学年での学習(社会科見学・生活科の地域巡り等)やお楽しみ会等でも一緒に学習したり活動したりしています。

 学校の規模や通常の学級の人数は学校により様々ですが、青山小学校は、特別支援学級と通常の学級の交流及び共同学習について、特色ある教育活動として昇華できる適正な規模であることを自覚して進めています。

 他校特別支援学級との合同行事でも、事前に自己紹介新聞を交換し合ったりオンライン交流をしたりすることで、年2~3回のかかわりがその日だけのかかわりに留まることのないように工夫しています。

 これらの取り組みの中で対話的に学ぶ力を育んでいきます。

 

  指導形態

 

  《教科・領域》

   ◇国語・算数・言語等-――-――グループ別学習

   ◇音楽・体育・図工・国際科等--全体学習・組別学習

   ◇生活単元学習等----――-―全体学習・組別学習・グループ別学習

 

  《クラブ・委員会活動》

   ◇クラブ活動(4年以上) 

   ◇委員会活動(5年以上)

        

  交流及び共同学習

 

   *当該学年との交流及び共同学習

       ◇縦割班活動    ◇運動会  ◇音楽会 ◇ゲストティーチャーを招いた学習

◇校外学習 ◇体験的学習 ◇教科学習 ◇社会科見学

 

  時程表 ◇別紙

                                                                 

  時間割 ◇別紙

 

    *生活単元学習の学習内容

       -校外学習、調理(買い物学習を含む)、理科領域の学習、栽培、

社会科領域の学習、行事の事前・事後学習、お楽しみ会、等