給食ブログ

笑うからうれしいことが

2017年11月10日 16時43分

親子に限らずコミュニケーションに笑顔は欠かせないものと思います。

そんなコラムを紹介します。

 

〇毎日新聞 1017日 香山リカのこころの万華鏡より

 「笑うからうれしいことが」

 上野動物園で生まれたパンダの赤ちゃんに、「香香 シャンシャン」という名前が付けられた。生後4か月を迎えてだいぶ歩けるようにもなったという。テレビのニュースなどで見る姿があまりにかわいらしく、ついネットの動画を何回も再生して見てしまうこともある。

 先日パンダの映像を見て、その直後に仕事で人に会ったら、「うれしそうな顔ですね。何かいいことでもありましたか?」と声をかけられた。「パンダの動画を見たばかりでー」とも言い出せずあいまいに答えたが、同僚もつられて笑顔になり、その日は仕事もうまく進んだ。

 逆に、知らないうちに不機嫌な顔つきになっていて、同僚から「体調が悪いの?」と聞かれることもある。そういう時は職場の雰囲気もいまひとつ明るくならず、会話もぎくしゃくして仕事が思うようにはかどらないことが多い。

 やっぱり表情って大切なんだ、と改めて思う。朝、職場に誰かがムッとしながら入ってくると、周りの人も緊張したり暗い気持ちになったりする。それよりも、ニコニコしながら「おはようございます!」と元気な声でドアを開ける人がいれば、自分は多少疲れていたとはしても、「おはよう、寒くなってきたね」などと自然に答えることができ、こちらも笑顔になるのではないだろうか。

 それでも、「たしかに明るい表情は大切かもしれない。でも、私にはいいことなんて一つもないんですよ」と言う人もいるかもしれない。そういう人には、最初に示した私の例が参考になるのではないか。

 つまり、パンダの赤ちゃんの動画を見てニコニコした私には、個人的に特にいいことがあったわけではない。それでも笑顔になることはできるし、その笑顔が周りの雰囲気を和ませることもできるのだ。

 うれしいことがなくても、とりあえず笑顔になってみよう。動物の赤ちゃんの写真や美味しそうな料理のグラビアを見たりすれば、思わず顔もほころんでくる。自分には特にいいことがなくても、それなりに素敵な笑顔になれるはずだ。そうすれば、周りにも笑顔が広がり、結果的に本当にいいことが起きるかもしれないではないか。

 「うれしいから笑う」のではなくて、笑うからうれしいことが起きる。パンダに学んだラッキーのつかみ方、今度、診察室でも誰かに教えてあげたいと思っている。

*パンダはシャンシャンではありません。念のため。