給食ブログ

見直される河内晩柑のおいしさ

2017年8月28日 15時26分

新聞記事に「河内晩柑」(給食試食会でも材料として使いました)のことが載っていましたので紹介します。


毎日新聞 
823

農業ジャーナリスト 青山浩子 「経済観測」より

 

「見直される河内晩柑のおいしさ」

 河内晩柑(ばんかん)という柑橘(かんきつ)をご存じだろうか。見た目や大きさはグレープフルーツと似ているが、熊本生まれで文旦の血をひいている。ジューシーでさっぱりとした甘みが暑さを吹き飛ばしてくれる。

 特徴は1年以上も木に実らせたまま、出荷直前まで完熟させる「木成り」という栽培が可能な点。かつては春ごろに収穫していたが、「初夏に収穫したものは実がひきしまっておいしい」「甘さと酸味のバランスがよくなる」と徐々に収穫時期を延ばす生産者が増えていった。

 誕生して80年たつ古株の柑橘だが木成りのおいしさが知られ、生産量が10年間で2倍近くに増え、新たに木を植える生産者もいるという。主産地は愛媛県で生産量の約8割を占める。外皮が簡単に手でむけ食べやすい点も静かなブームを呼ぶ理由だ。

 愛媛県宇和島市の生産者の一人は「おいしさが全国に伝わったのは地元の消費者のおかげ」という。清涼感があって、夏に食べられる珍しい柑橘を地元の人がお使い物にしたり、お中元に贈ったりしてくれ、全国に知られるきっかけとなった。

 その分、生産者には高い栽培技術が求められる。特に初夏は前年から成っている果実と、来年のための若い果実が一本の木に同居し、それぞれ違う管理をしなければならない。出荷する頃には500gぐらいになる思い実もあり、風が吹いて落下することもある。河内晩柑という名前以外にも愛南ゴールド、美生柑、ジューシーフルーツなど産地ごとのブランドで販売されている。近年では認知症予防の効能も明らかになってきた。口いっぱいに広がる果汁、爽快感は大地の恵みそのもの。今シーズンの出荷はほぼ終わったが「食べたことがない」という方は来夏にご賞味あれ。