寿命って何?
2017年11月8日 14時39分朝、読み聞かせをしていただいた本をお借りして読ませていただきました。
その中から少し抜粋してお知らせします。
十歳のきみへ
―九十五歳のわたしから
日野原重明 富山房インターナショナル より
寿命って何?の項から
長く生きていれば、うれしいことや楽しいことをたくさん経験しますが、つらく悲しい経験もどうしても多くなります。
それでもわたしは、長生きできたことをとても感謝しています。先にも書いたように、長生きすることを「長寿」といいますが、「寿」は、けっこん式などのおめでたい場面によく使われる文字でもあるのです。いのちが長いということは、だれにとっても喜ばしいことなのです。
でも、わたしが自分の長寿をありがたいと思い、うれしいと感じている理由は、だんだん豊かになって、便利になっていく時代を味わうことができたからではありません。
その最大の理由は、「あのときのあれは失敗だったなあ」と思うことをもう一度やり直して、わたしの人生のあちこちにできたやぶれめをつくろって強くしたり、あるいは新しいことに次々チャレンジして、わたしの人生にさらにみがきをかける時間をたっぷりもらえたからです。
からっぽのうつわのなかに、いのちを注ぐこと。
それが、生きるということです。
寿命というのは、つまり、生きることに費やすことのできる時間です。
私がイメージする寿命とは、手持ち時間をけずっていくというのとはまるで反対に、寿命という大きなからっぽのうつわのなかに、せいいっぱい生きた一瞬一瞬をつめこんでいくイメージです。
ぼんやりして時間を過ごそうが、なにかに没頭して過ごそうが、時間をどうつかうかは、一人ひとりの自由にゆだねられています。
その時間の質、つまり、時間の中身を最終的にきめているのは、君自身だということです。
時間にいのちをふきこめば、
その時間が生きてきます。
このほかに「人間はすごい」「十歳だったころのわたし」「家族の中ではぐくまれるもの」「君に託したいこと」と項は続きます。
わかりやすい言葉で書いてありますし、難しい漢字にはふり仮名もあります。ぜひ多くの子供たちに読んで、そして考えてほしいと思います。